ドラマは学びの現場から生まれる
今木ゼミの挑戦
西日本短期大学メディア・プロモーション学科で
私が担当している「今木ゼミ」では、
1年を通して、隔週で二つのことに取り組んでいます。
ひとつは、オリジナルのショートドラマを制作すること。
学生たちが企画・脚本・監督・出演・撮影・編集など
全てを自分たちで行います。
私はプロデューサーとして、
必要なときにはしっかり関わりながら、
全体を見渡して見守る役割を担っています。
もうひとつは、テレビドラマや演劇の名作を鑑賞し、
解説することです。
名作を観て学び、
その学びを、次の制作に生かす。
この往復を1年間続けながら、
一本のドラマを完成させていきます。
『夢追い人たち』
今年度の学生たちが取り組んだ作品のタイトルは
『夢追い人たち』。
仲間と力を合わせて夢を追い続けること。
途中でうまくいかなくなり、
仲間がバラバラになりそうになること。
それでも、再び力を合わせて、
夢を追い続けていくこと。
──そんな物語を描いています。
高校を卒業した仲間たちが、
それぞれの現実に向き合い、
一度はすれ違いながらも、
「もう一度、みんなでやろう」
と再び歩き出す。
とてもまっすぐで、切実なドラマになりました。
物語と現実が重なったドラマ制作
実は、この作品のテーマは、
今年度のドラマ制作そのものと、重なっていました。
これまでもそうでしたが、今年度も、
途中でプロとしての芸能の仕事が
忙しくなったメンバーがいました。
スケジュールを合わせることは、
簡単ではありませんでした。
「この日しか全員が揃わない」
そんな状況の中で、
制作を進める必要がありました。
作品の中で描かれている
「仲間がバラバラになりそうになる過程」は、
決してフィクションだけではありません。
現実の制作現場も、
まさに同じ道をたどっていた
そう言っていいと思います。
学生たちの声
レポートには、
ドラマ制作を通して考えたことが、
率直な言葉で綴られていました。
「ドラマ制作を通して、想像以上に、
一つの作品を作ることは大変だと感じました。
スケジュールを合わせることや、
撮影当日の段取りなど、
少しの準備不足が全体に影響することを
身をもって知りました」
また、こんな気づきも書かれています。
「ドラマを作る側に立ったことで、
これまで何気なく見ていたドラマを、
『どうやって撮っているのか』
『なぜこの演出なのか』
と考えるようになりました」
そして、今年度ならではの言葉もありました。
「人数が少ない分、
一人ひとりの役割がとても大きく、
誰かが欠けると成立しないという責任を感じました。
だからこそ、
仲間と協力することの大切さを強く実感しました」
これらの言葉は、
『夢追い人たち』の物語と、
現実のドラマ制作が、
確かにつながっていたことを物語っています。
名作を観ることが、制作を支えていた
今木ゼミでは、
制作と並行して、
ドラマや演劇の名作を鑑賞し、解説しています。
「面白かった」で終わらせず、
「なぜ心を動かされたのか」を考える。
その積み重ねが、
自分たちで制作する時の支えになります。
過去の学生の言葉にも、こうありました。
「今木ゼミで欠かせないものといえば
『Show must go on』。
この言葉に何度も救われました」
途中で投げ出さず、最後までやり切る。
その姿勢は、名作から学び、
制作の現場で体得していくものです。
完成を迎えようとしている今、思うこと
今木ゼミのドラマ作品は、
毎年3月、
卒業前のお別れ会で披露しています。
今年度の『夢追い人たち』も、
間もなく、完成のときを迎えようとしています。
ドラマ制作は、決して楽な授業ではありません。
それでも、
「ドラマ制作は、つらいことも、
あきらめたいときもたくさんありました。
でも、今木ゼミに入れて幸せです。」
この言葉に、
すべてが詰まっているように感じます。
ドラマは、学びの現場から生まれる
ドラマは、
特別なスタジオだけで生まれるものではありません。
仲間と学びを重ねる場所で、生まれます。
仲間とぶつかり、悩み、迷いながら、
それでも前に進もうとする場所で、
物語は生まれます。
今年の『夢追い人たち』も、
そんな現場から生まれたドラマです。
そしてこの経験は、
学生たちがこれから先、
それぞれのステージで夢を追い続けるとき、
きっと心のどこかで
支えになってくれるはずです。
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